あくなき全力疾走

グランプリ勝負駆け。クイーンズクライマックス勝負駆け。トップレーサーの誇りである、年末のスーパーステージ出場を懸けての最後の戦いがチャレンジカップである。だからまず注目されるのは、それぞれの出場圏外から逆転を狙う選手たち。あるいは、ボーダー近辺でまだ当確を出しておらず、逃げ込みをはかろうと奮闘する選手たち。そうなってくるのは当然であろう。しかも今年は、昨年のグランプリ覇者である毒島誠が、F2の余波でグランプリ出場にはほぼ優勝条件で参戦していたから、その勝負駆けに特に耳目が集まるのは必定。毒島は来期B2級が確定しているが、もしグランプリに駒を進め、優勝戦にまで進出すれば、その身分のままでもダービーまでのすべてのSGに参戦できる。トップ中のトップの一人である毒島がそれを実現させるかどうかは、やはり今回のチャレンジカップの最大の焦点だったし、準優で夢潰えたのはやはり残念であった。


だが一方で、チャレンジカップはトップレーサーたちのあくなき上昇志向を改めて痛感させてくれる大会である、とも思う。たとえば、GⅡレディースチャレンジカップの遠藤エミだ。大会初日の時点で、遠藤はクイーンズクライマックス出場はもちろん当確。それどころか、女子賞金ランクトップでのクイクラ出場も当確。さらに言うとSGグランプリシリーズ出場も当確。つまり、遠藤には何の勝負駆けも生じていなかったのである。
しかし遠藤は、勝負駆けを戦う選手たちと何ら変わらぬ気合を発揮した。5日目4Rの6号艇では前付けも敢行している。仮に予選落ちを喫したとしても、クイクラでの自身の立場は何も変わらないのに、遠藤は全力で戦って、結果優勝戦1号艇を手にしている。その姿には女子トップとしての凄味が間違いなく溢れ出ていた。優勝を逃して呆然とした表情になっていたのもまた、真のトップレーサーの姿だった。
SGチャレンジカップの池田浩二も同様だった。賞金ランク3位での参戦だったが、チャレンジカップ出場選手決定時点では2位で、その時点で1位だった佐藤隆太郎はF休みでチャレンジカップ不出場だったから、選考順位1位でのチャレンジ参戦となっている。池田には勝負駆けが発生していたのだ。それは賞金ランク2位以内での出場、すなわちトライアル2nd初戦1号艇。池田は当初、そこへのこだわりはあまり見せてはいなかったが、蓋を開けてみればドリーム逃げ切りを含めて予選を快走。予選トップ通過を果たしている。準優も逃げ切って、優勝戦は1号艇。その時点で佐藤を抜いて2位以内でのグランプリ出場は確定。今度は賞金ランク1位での出場が優勝戦には懸かることになった。池田はやはり「2位以内なら上出来」とそこには意識が向いていない旨のコメントを残しているが、しかし優勝を逃したときには思い切り顔を歪めて悔しさをあらわにしている。手が届きかけていたSG12回目の優勝と賞金ランク1位の座。それを逃したことに全身で悶えていたのだ。口にする言葉はともかく、「○○で満足」という心持ちでは池田や遠藤のようなスーパートップレーサーにはなりえない、ということだろう。(次ページにつづく)
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