
PGⅠ第14回クイーンズクライマックスレポート
素晴らしきトライアル最終戦

グランプリのトライアル最終戦は巨大なドラマを巻き起こす。そんな言説はたびたび用いられてきたし、本誌でもそう取り上げたことは幾度となくある。それはクイーンズクライマックスも同様。特に今回のトライアル第3戦は、優勝のゆくえも大きく大きく左右する、とびきりドラマチックな戦いとなった。
12月30日、5日目。トライアル最終戦の、まず11Rの得点状況はこうなっていた。
①鎌倉涼 15
②西橋奈未 9
③遠藤エミ 17
④守屋美穂 14
⑤川野芽唯 19
⑥小野生奈 16
(着順点は1着=10、2着=9、3着=7、4着=6、5着=5、6着=4)
この時点で、得点トップは川野、2位が遠藤。川野は初戦2着、2戦目1着と快調で、遠藤は初戦を逃げ切ったものの、第2戦は3着で、川野に首位を譲るかたちとなっていた。優出ボーダーを21点とするなら、ふたりはすでに無事故完走で当確。しかし、もちろんそれで満足などしていない。見据えていたのはもちろん、優勝戦の好枠だろう。川野は2着以上で自力トップ。つまり優勝戦1号艇。遠藤は何としても川野に先着し、しかも2点差をつける着順で11Rを終えたいところだった。
報道陣の間では、やはり遠藤の立場で語る者が多かったように思う。前年覇者で、連覇を目指すべく1号艇を遠藤が狙っているのは明らか。モーターもかなり噴いており、またこの11Rは川野より内枠にいる。遠藤はまず川野を意識して戦うことになるのではないか。そんな憶測も耳にしたりした。
そうしたなかで、初のGⅠタイトル獲得に意欲を見せ、それをたびたび言葉にしていた守屋美穂の勝負駆けにも注目は集まった。初戦を1号艇で逃げ切ったが、第2戦はよもやの6着大敗。ここは3着条件の勝負駆けということになるが、もちろん守屋もそこを見ていたわけではないだろう。勝利したうえで遠藤や川野が大敗すれば、まだ優勝戦1号艇の可能性も残されている。何より、ほんの1カ月前に同じ4号艇でGⅡのタイトルをもぎ取っているのだ。ここも気合のカドまくりがあるのではないか。そんなふうに考える者もいたであろう。
実際のところは、前日の枠番抽選で1号艇を引き当てていた鎌倉涼が有利ではあったのだ。順当に逃げ切れば優勝戦好枠は間違いなく手に入る。遠藤や川野の着順次第では1号艇の可能性も充分。そして、鎌倉は逃げ切った! 3コースまくりで優勝戦白カポックを奪いにいった遠藤を受け止めて、しりぞけて、鎌倉は優勝戦への切符を手にしたのだ。実に価値ある勝利を鎌倉は手にしたわけである。

問題はここからだ。握った遠藤は、そのまま2番手を追走。そして川野は後方であえいでいた。川野が3着なら得点は26で並び、鎌倉を上回ったうえで、着順もまったく同じとなる。その場合選考順位が優先されるから、遠藤の1号艇が確約される。女子トップの遠藤が、まさか着順を落とすことはない。つまり、優勝戦1号艇は遠藤で決まった。そう確信した者も少なくなかったはずだ。しかし、まさかが起きた。
6コースからまくり差しハンドルで3番手に取りついていた小野生奈が2マークをくるり小回りすると、遠藤を逆転していたのである。3着では鎌倉を超えられない遠藤。しかも、1点差につけていた小野にも逆転を許してしまうのだ。2着と3着の間にのみ適用されている着順点2点の差。その妙が、遠藤にとっては魔となってしまうのである。おそらくそれを把握していた遠藤は猛追し、2周2マークは2番手先マイを仕掛けているが、小野が冷静に捌いて2番手を譲らなかった。小野は大外枠を引いてしまい、枠番通りに大敗していたら優出はなかった。その状況での2着は、素晴らしい好走である。そして遠藤にとっては痛恨の3着。
もし、遠藤があのまま2番手を走っていれば、優勝戦1号艇は遠藤だった。12Rの結果が変わらなかったとしたら、優勝戦は①遠藤②鎌倉③川野④小野⑤渡邉⑥平高という組み合わせになっていた。最終的な結果が変わっていた可能性は高いと言うべきだろう。しかし遠藤は3着に終わり、5着だった川野と24点で並びながら上位着順の差で(川野は2着があり、遠藤はない)暫定4位まで下がってしまうこととなった。レース後、遠藤は珍しいほどに悔しさをあらわにしていたものだ。もしかしたら痛恨という言葉でもまだ軽いほどの痛みを感じていたのかもしれない。(次ページに続く)
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