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TOP特集ビッグレースレポートSG第30回オーシャンカップレポート

SG第30回オーシャンカップレポート

ボートレース徳山が西山貴浩の優勝で熱狂! 猛暑のなか、おおいに白熱したSGオーシャンカップのレポートです。

誰からも愛される男
誰からも愛されるSGウィナー

 西山貴浩は愛されているなあ、と改めて思う。
 4日目9R、丸野一樹が1着ならば得点率でトップに躍り出るという状況。しかし丸野は6号艇という枠の遠さを克服できず、3着と健闘はしたもののトップには届かず。その瞬間、西山の予選トップ通過が確定し、ピットにはたしかに祝福の空気が漂っていたのだった。池田浩二は西山の肩を揉み揉みして、まるで「緊張するなよ」と伝えているかのよう。磯部誠は軽口を叩いて西山をからかっていたが、それが悲願達成の予感をかえって増幅させていた。西山にSGを獲らせたい。そんな雰囲気はたしかにそこにはあった。その瞬間が近づいていることに、誰もが浮かれているようにも見えた。
 思い出すのは3月のクラシックである。4日目8R、この日の前半で1着を獲っていた西山は3着以上ならやはりトップ確定だった。4号艇での登場で、2号艇の菅章哉がチルトを跳ねて6コースに出たため3コースが見込まれる一戦。足色的にはそれほど難しい戦いではないように見えていて、トップ通過がおおいに期待されていた場面だった。ところが、西山はひとつ足りない4着に終わる。その瞬間、ピットに漂ったのは微妙な空気だ。西山がトップ通過を逃してしまった。いや、予選トップ通過=優勝ではまったくないのだから、本来は悲観するような局面でもない。2位通過なら2位通過で優勝を目指せばいい。たとえば昨年のメモリアルで、馬場貴也は予選16位通過で準優6号艇、そこから頂点にまで駆け上がったのだ。これは何も不思議なことではない。現代ボートレースではインが圧倒的に強いけれども、イン=勝利ではないのは当たり前だ。
 だが、あのときのピットには、まるで西山が優勝を逃してしまったかのような雰囲気が充満していたのは確かである。そして、それを残念がるかのような様相になっていたのも明らかだった。あのクラシックは西山の地元でのSGであり、また西山がいかにそのクラシックに懸けていたかを知っている人も大勢いたから、それも無理のないことではある。だが、この徳山でトップ通過を決めたとき、あの若松とは正反対の空気に包まれたのを感じたとき、やはりみな願っているのだと思った。西山にSGを獲らせたい。そんな思いの人が選手仲間や関係者、もちろんファンも、あまりにも多いということをつくづく実感したのである。西山は愛されている、というのはそのことである。

 準優11Rが終わって、そのエンジン吊りが始まった。馬場貴也と佐藤翼の優出を祝福する声なども含めて、ピットはレース後のざわめきに包まれていたわけだが、そのとき、水面際の手すりに森高一真や片岡雅裕、平本真之、磯部、そして仲谷颯仁らが陣取っていた。西山と縁が深い面々だ。彼らはじっと水面を眺めている。水面で行なわれていたのは12Rのスタート展示だ。そのピットアウトから、彼らはそこで水面を……いや、西山を、だろう……見つめていた。やっぱり、心配なんだろうか、西山が。そんなことも思ったが、ここを逃げ切ればついに優勝戦1号艇が待っている。なんとか失敗せずにそこに辿り着き、悔いなく明日を迎えてほしい。そんな思いだったのだろう。
 そして翌日、優勝戦のスタート展示の際、やはり同じ面々が同じ場所にいた。準優を逃げ切って優勝戦の白カポックをまとった西山。最も緊張感が高まる場面だ、仲間たちにはやっぱり心配もあっただろうし、また願う気持ちもあっただろう。まあ、まだスタート展示なんだけど、というちょっとしたツッコミを考えたりもしたが(笑)、それくらい展示から妙なミスを犯さずに本番に向かってほしいという思いだったということだろうか。
 いよいよ優勝戦本番。同じ顔ぶれが、同じ場所に集まっている。その輪の中から、森高ひとり離れて、整備室へと向かった。森高は整備室内に設置されているモニターの前、そこにあるテーブルにしゃがみ込んで腕を組み、顎を乗せ、モニターを見守った。実は、前日の準優勝戦を森高は、同じ場所で観戦している。ゲン担ぎの意味もあったと森高はレース後に明かしているが、それくらい森高は西山の勝利を願っていたということだ。西山と森高との関わりは、“ポンコツ会”界隈ということであちこちに露出されており、語る必要もないほど有名になっている。ひとつ僕の見解を示しておくと、二人の共通点は「実は森高も西山も気遣いの人」だと思っているのだが、それはさておき。何にせよ、支部も期も違う西山を、まるで同支部の後輩、あるいは身内のように森高が考えていることをよくあらわすシーンだった。僕はそう思った。
 そんな森高の姿が代表するように、やっぱり西山貴浩はみんなに愛されているのだ。それはきっと、ファンの前をはじめ人前であらわにしているキャラクターのせいだけではない。まあ、あのキャラクターがまず大きいんだろうけど、それだけに収まるような人物ではないと僕は思っている。
 誰からも愛されているSGウィナーが誕生した。あ、もちろんファンから愛されているのはもう当たり前のことで、優勝戦が終了してから1時間ほども経った後に行なわれたというのに、水神祭を一目見ようと驚くほどたくさんのファンがスタンドに残っていたことが改めての象徴だろう。ほんと、猛暑の中だというのに、みな待ち続けたのだから凄すぎである(それを許したボートレース徳山の厚意にも拍手したい)。
 僕は、悲願を達成したからこそ、西山の次の段階を見たい。それがどんなものなのかはわからないし、特に考えないでおこうとも思っているが、ここがゴールではないのも当然であるはずなのだ。この号が発売されるときには結果が出ているが、地元若松のメモリアルがどうだったのかも気になる。それを経て、年末に向けてどう変わるのか、あるいは来年以降どんな西山貴浩が出現するのか、ということも。まあ、どんな西山貴浩になろうとも、彼が愛され続けることは変わらないのだろう。その様子を面白おかしく眺めながら、新たなる西山貴浩を探すのも我々のおおいなる楽しみになってくるはずだ。(黒須田)

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