
SG第31回オーシャンカップ節間最新レポート【最終日】
<ピットから>

丸野一樹は静かに悔しさを噛み締めていた。露骨に感情をあらわすのではなく、しかしどこかやるせない表情でレース後の作業を淡々と進める。時に悔しさをむき出しにすることもある丸野のレース後としては珍しいとも言える様子である。だからそれだけに、この地元SGに懸けてきた思いや、それが敗戦というかたちで終わってしまったことへの脱力が伝わってきた。そういえば、馬場貴也も遠藤エミも、優勝戦後はやけに淡々としているように見えていた。3人ともが23年ぶりのびわこSGに、つまりは初めて味わう地元SGに、特別な思いで関わってきた。望んでいた結果が出ないまま終わってしまった特別な戦いの後、ふっと言葉も強い感情も失うということかもしれない。

当たり前だが、定松勇樹のテンションは高かった。滋賀勢とは対照的、それが自然なことだ。そして、2年前のオールスター制覇の時ともまた違う。あのときは出迎えた師匠の姿を見るや、号泣した。「あのときは余裕がなかった」と定松は会見で振り返る。そうしたメンタリティを克服しての優勝は、涙を呼んで当然だ。しかし、定松は強くなったのだ。右隣に最強の師匠というプレッシャーがあった。オールスターでは陸の上で支えてくれていたはずの師匠は、今日は最大の敵だった。だが、定松はそれを自力で克服するすべを身に着けていた。もちろん今回は余裕があったというわけでもないだろうが、強い決意とともに戦って、思い描いた結果を導き出した。そうなれば当然、今回は笑顔だ。師匠はSGを勝つたびに泣いているけど(笑)、定松は笑顔を見せた。もちろん師匠とは背負っているものも違うけれども、今後はそれをこの男が継承していくことになるのだろう。「サダ、強くなったな」とレース後に峰に言われ、嬉しかったという。いつか「サダ、俺を超えたな」と言わせるのがこれからの定松勇樹の使命だ。
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