
SG第52回ボートレースオールスターin丸亀レポート
評判機を超抜機に仕上げて揺るぎなく戦う
佐藤隆太郎を頂点に導いた“自力”

佐藤隆太郎の勝因のひとつは、間違いなく超抜に仕上がったモーターのパワーだ。もともと評判の高かった47号機。SGやPGⅠでは毎日ライブ配信しているYouTube「展望BOATBoy」。その初日展望(前検日にライブ配信)では三島敬一郎の「厳選モーター10基」を紹介している。47号機は、もちろん三島も上位にあげていたモーター。日々全レースをチェックしてモーターの気配を追いかけている三島の目にも、47号機は上位パワーと映っていた。ちなみに、佐藤はファン投票では選出されず、3月のボートレースクラシック優勝でオールスター出場権を手にしていたため、選考順位は52位。モーター抽選は選考上位から行なうので、佐藤はラスト52番目に抽選機を回す。そこで47号機を引いたことから「残り物に福」ともスポーツ紙などでは喧伝されたものだ。
初戦から、そのパワーは遺憾なく発揮された。3号艇で登場した初日8R、3コースから鋭いまくり差しを放って快勝。直線系の足の良さが囁かれていた戦前だったが、しっかりと掛かり、前に押す出足や回り足も上位と見える、あざやかなまくり差しだった。3走目の3日目4Rは、菅章哉が1号艇ながらもチルト3度で6コースに出た一戦で、もちろん一撃が決まるかが注目の的だったレース。しかし菅以上の直線足を見せつけたのは佐藤だった。スロー3コース発進で、スリット手前からぐんぐんと前に出てまくり一閃。のぞいたスリット隊形ではあったものの、一気に内2人を叩き切った足は抜群だった。

予選最終走となった4日目10Rも強烈だった。3号艇で登場した佐藤だったが、6号艇の白井英治が勝負駆けで気合の前付け策に出て、スタート展示は4カドとなっている。本番も白井は動いて2コースに入り、やはり佐藤は4コースかという待機行動。3コースになりそうな2号艇は今垣光太郎で、言うまでもなく3カドのパイオニア。ここは2対4の進入になるのか、と思われた瞬間、先に艇をダッシュに引いたのは今垣だった。そう、今垣が佐藤のマークに回ったのだ。今垣が佐藤の外へと艇を持ち出した瞬間、ピットのモニターで観戦していた他の選手たちも騒然となっている。あの今垣光太郎が、3カドではなく佐藤の伸びを認めてマークした。その事実自体が、佐藤の超抜パワーを証明していたのである。
このレース、佐藤は結局3カドになり、案の定、伸びて内をまくり切っている。その懐に飛び込んだのは今垣。ドンピシャのまくり差しで佐藤を捕らえたように見えた。今垣の戦略が奏功したのだ。ところが、そこからの伸びが違った。佐藤はあっという間に今垣を振り切って、2マークを先取り。今垣は日々整備を繰り返しており、凡機の立て直しに苦労していたのだが、佐藤との差はそれでも埋められずに歴然としており、展開の読みは当たったもののパワー差で敗れてしまったわけである。結果的に、今垣のこの勝負手がかえって佐藤のパワーを強調する格好となったわけだ。
選考順位最下位の佐藤には予選で1号艇は回らなかったが、その絶大なる機力を武器に予選トップ通過。自力で準優1号艇をもぎ取ってみせた。ここまで見せつけてきたパワーを考えれば、佐藤がインで取りこぼすことはなかなか想像しがたいことだった。(次ページへつづく)
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