
SG第31回オーシャンカップinびわこレポート
本物のSGウィナー

一昨年のボートレースオールスターを優勝して、登番5000番台のSG制覇一番乗りを果たした定松勇樹。しかし昨年は消化不良の1年だったに違いない。ボートレースクラシックの最終日にFを切ってグランドチャンピオンを棒に振り、期が変わってふたたび勇み足があってボートレースメモリアルも出場できなかった。リズムが狂ったか、ボートレースダービーも出場できず、一昨年はグランプリを走ってトライアルでも健闘した男が、チャレンジカップもグランプリシリーズも出場を逃したのだ。前年を思えば、地獄を味わったような気になっていたかもしれない。
今年に入ってからの定松の活躍ぶりは目覚ましかった。1月の芦屋周年を制して令和8年の最初のGⅠ覇者となると、九州地区選を5コースまくりで優勝して権利のなかったボートレースクラシックの出場権ももぎ取った。SGではすべて予選突破を果たし2優出。GⅠとGⅡでも優出を連発している。定松にとってはたいした意味をもたないだろうが、平和島BOATBoyカップの優勝もあったりする(我々としては嬉しい)。
ただ、やはり消化不良なものは残ってもいたはずだ。クラシックでは準優で4カドまくりを決めて1着となったが、不良航法をとられて賞典除外の憂き目にあった。オールスターでは優出を果たし、優勝戦は2番手を走ったが、後続からの突進を浴びてシンガリまで後退し、完走はしたものの負傷してしまっている。その次節を欠場して臨んだとこなめ周年ではまたもF。決して順風満帆な令和8年ではなかった。
だが、浮き沈みがありながらも積み重ねてきたものは決してダテではなかった。悔し涙にくれたこともあったが、しかし間違いなく充実した戦いぶりではあったのだ。噛み合いさえすれば、いつ爆発してもおかしくなかった。そして、そのときはこのオーシャンカップで訪れた。予選2位通過で、定松自身は「予選トップで逃げ逃げでの優勝が理想」だと振り返ったレース後ではあったものの、しかし立派な優勝戦1号艇である。なにしろドリーム戦を4カドまくりで勝利し、その後もオール3連対を守り切った一節だったのだ。準優勝戦も危なげのない逃げ切りで優出し、そして優勝戦も完勝である。さらに言えば、師匠を2番手に従えての逃走劇だったのだ。胸を張っていい優勝だったし、誰もが23年ぶりSG開催となったびわこで最も輝いたのは定松勇樹だと認めるだろう。
佐賀支部の大先輩である上瀧和則が、選手会長時代に「SGを2つ獲って、やっと本物」と言っていたことがある。その伝でいえば、定松勇樹はまさしく本物のSGウィナーになったのだ。波に乗る佐賀支部勢とともに、どこまで駆け上がっていくのか。それを想像すると胸が弾むというものだ。(黒須田)
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