
SG第72回ボートレースメモリアル節間最新レポート【最終日】
<ピットから>

戦前から想定されたとおり、峰竜太は泣き虫王子だった。Vゴールを決めて、真っ先にピットに帰ってくるかと思いきや、他5艇に次々と抜かれるほどに速度を落とし、ゆっくりと帰還。その時点でもう、遠目にも泣いているのは明らかだった。ピットで待ち構えた選手たちが「泣いてる!」と笑う。ピットに上がるとすぐに地上波中継、JLCのウィナーインタビューに臨んでいるのだが、その間じゅう、峰は涙を流していた。
業界を背負う。このメモリアルで峰のGRANDE5グランドスラム達成なるかと話題になり、また評判機を引いて予選でも着々とポイントを重ねていくにつれて、それが現実味を帯びると、峰はある種の責任感を覚えるようになったようだ。つまり、この盛り上がりを最後まで燃やし続け、そして自分が勝って最大化させること。それが業界への恩返しになるのだと、峰は自らを追い込んだのだ。2021年グランプリで峰は1マークで転覆し、後続3艇を巻き込んで妨害失格、3連単不成立で約41億円を返還する“戦犯”となったことがある。そのことも、峰はずっと引きずっている。迷惑をかけてしまった、それを取り返すには、ボートレース界を自分が最大限に盛り上げるしかない。そんな思いも峰にはあったのである。

だからもう、勝てば涙があふれてくるに決まっている! インタビューが終わり、記念撮影の段になると、峰の涙はいったん止まって、笑顔があふれた。しかし、準Vに終わった毒島誠に祝福され、握手した瞬間、峰はまた涙が止まらなくなった。地元SGに懸ける毒島の気持ちは痛いほど理解していた。しかも、1マークの差しにギリギリまで迫られ、毒島の実力を改めて知った。そのうえで、このメモリアルを最大限に盛り上げ、自分が初のグランドスラマーとなった。そう思えば、ふたたび涙がこみ上げるのは当然だ。
「これを獲ったからには、自分が先頭に立ってボートレースを盛り上げる」
そう決意した峰は、さらにさらに強くなることだろう。もしかしたら峰竜太はまだピークを迎えていないのかもしれない。そんなことを思わせる、峰の涙だった。
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